|
糖鎖(とうさ)の情報がてんこ盛りのブログです
|
||
|
2002年02月16日の朝日新聞に、下記のような記事が載りました。 --- 【ここまで分かった糖鎖の働き】 【異常が病気の引き金に】 生物がエネルギー源として利用している糖。いろいろな糖が鎖状に連なった糖鎖は、たんぱく質や脂質にくっつき、生物の構成要素にもなっている。糖鎖の異常が原因で病気になったり細胞の運命を決定づけたり、多様な働きがわかってきた。 細胞の運命にも関与 糖鎖は、細胞の構造を保ち、安定させる役割も果たす。筋肉細胞の膜には、糖鎖がついたたんぱく質があり、糖鎖の部分で細胞の外の分子とつながることで、構造を安定に保つ。構造が不安定になると筋肉は働けなくなる。 --- 厚生労働省では、糖鎖は100種類以上の病気に関与しているとしながら、2006年から糖鎖の解明を研究すると発表しています。 人が病気になるメカニズムが糖鎖研究が進めば進ほど明らかになってくるとすれば、大変明るい未来が待っているはずです。 2007年4月2日の読売新聞に、下記のような記事が載りました。 --- 【どんな血液型もO型に変換 輸血へ活用期待】 ハーバード大など酵素開発 AとB、AB型の赤血球をO型の赤血球に変えることのできる酵素を米ハーバード大などの国際研究チームが開発した。米国の専門誌ネイチャー・バイオテクノロジー(電子版)に1日発表する。O型の血液は、どの血液型の患者にも輸血できるため、実用化すれば、輸血用血液の血液型の偏りを解消できる可能性がある。 赤血球の表面は、毛のような糖鎖で覆われている。その糖鎖の先に結合している糖の種類によって、A、B、AB型に分かれ、何もついていないのがO型。結合している糖の種類が違うと輸血時に拒否反応が起きるため、O型以外の赤血球は輸血対象が限られる。緊急時など患者の血液型が不明な時はO型を使う。 研究チームは、約2500種類の細菌などから、赤血球の糖鎖から糖を分断する能力を持つ酵素を複数発見。それぞれの特徴を遺伝子レベルで調べ上げ、効率を高めた酵素を開発した。この酵素でO型以外の赤血球200ミリ・リットルを1時間処理すると、ほとんどの赤血球がO型になった。 --- びっくりするようなお話ですが、私たちが生命活動していく上で最も大切な血液も糖鎖が深く深く関わっているというお話でした。 ABO式血液型は赤血球表面の糖鎖の形によって分類されているという話は聞いたことがあると思います。 糖鎖自体は、8つの単糖類でできていますが、その単糖類の構成の仕方で、A型になったり、B型になったりするわけです。 基本形はO型で、それにA型の単糖類が付けば、血液型はA型 O型にB型の単糖類が付けば、血液型はB型 A型、B型、両方が付けば、AB型というわけです。 もちろん、何もつかなければO型です。 糖鎖は私たちの体の免疫機能とも大変深い関わり合いを持っています。 たとえば、免疫細胞である「白血球」は、糖鎖を監視しながら血管の中をパトロールしています。 白血球は血管の中を流れながら血管壁の細胞の表面に付いている糖鎖の触れて検査してまわっています。 まるで、一つ一つの細胞の顔色をうかがうかのように巡回しています。 炎症などの異常が起きている部分では、糖鎖の形が正常ではないので、糖鎖の異常を発見すると、免疫細胞に集合をかけたり、異物やバクテリアなどの侵入物への攻撃をするといった対応をとるわけです。 たとえば、精子が卵子に出会って受精するときも糖鎖が大きな役割を果たしています。 卵子の表面は卵子を保護する卵黄膜に覆われていますが、受精が行われるためには精子がこの卵黄膜を突破して卵子までたどりつかなければなりません。 その時に、精子は卵黄膜の表面に産毛のように出ている糖鎖と結合することによって卵黄膜を突破し、受精することができるのです。 このときに、人工的に卵黄膜を取り去った卵子に精子を誘導しても受精しないということがわかっています。 生命の誕生の瞬間にも糖鎖を介した精子と卵子のコミュニケーションはなくてはならない必須条件なのです。 N-アセチルノイラミン酸は脳の発育に重要な役割があり、免疫家にも関与しています。 糖鎖による情報伝達の際のオン・オフを決定する要因の一つとされ、細胞間の認識機能に重要な役割を担っています。 また、コラーゲン(シアル酸)の素として知られており、体内の機関をコーティングする粘液質の素になっています。 燕窩や母乳に含まれています。 N-アセチルガラクトサミンはがんの増殖や転移に関与し、がんの進行を抑え、ヒトや動物の感覚神経構造に集約されています。 食材としては、燕窩や鮫軟骨、牛乳に含まれています。 N-アセチルグルコサミンは、がんを抑制し、関節炎を改善します。また、最近では、健康・美容面でよく耳にするヒアルロン酸の素になる単糖です。 またビフィズス菌増殖による成長効果なども知られています。 フコースも免疫系に重要なはたらきをし、がんの成長・転移を抑制し、気道感染症治療にも有用です。 供給源としては、海藻類(フコイダン)、亜麻、キノコ類、燕窩などに含まれます。 キシロースは、殺菌作用があるほか、病原体・アレルゲンの結合を阻害するはたらきがあります。 殻物や植物の皮やキノコ、メープルシロップなどに含まれますが、通常の食事では必要量を摂ることは難しいといわれています。 免疫系に重要なはたらきをし、マクロファージを活性化して細菌感染を防ぎ、消炎作用があります。糖尿病治療にも用いられています。 アロエやサボテン、燕窩などに含まれています。 免疫系に重要なはたらきをし、がんの成長や転移を阻害します。また腸内細菌の保持にも役立ち、カルシウムの吸収を助けるはたらきがあります。 主な食品といえば、乳製品や中華料理に出てくる燕窩と呼ばれるツバメの巣です。 グルコースとは、ブドウ糖ともいい、代表的な糖鎖栄養素です。 ほとんどの植物や穀類に含まれており、通常の食事で摂取は可能です。 はたらきとしては主にエネルギー源、免疫活性作用があります。 糖鎖は8種類の単糖で構成されており、無数の組合せで一つの細胞の表面に500本から数10万本の糖鎖がくっついています。 「単糖」とは、これ以上加水分解できない糖類のことをいいます。 糖鎖を構成する単糖のことを、特に「糖鎖栄養素」と呼んでいます。 1.グルコース 2.ガラクトース 3.マンノース 4.キシロース 5.フコース 6.N-アセチルグルコサミン 7.N-アセチルガラクトサミン 8.N-アセチルノイラミン酸 上記、8種類の糖鎖栄養素のうち、グルコースとガラクトースは通常の食事で必要量を摂取することが可能だといわれていますが、その他の6種類の糖鎖栄養素は通常の食事では摂取が難しいとされているものです。 「糖鎖とは?」と尋ねられて、簡単に答えることはできないのですが、できるだけ簡単に言いますと... 「細胞の顔」です。 細胞膜にはタンパク質や脂質が埋め込まれた状態でたくさん存在しています。糖鎖はそのタンパク質や脂質に結合した格好で、細胞の表面にひげのように出ており、細胞間のコミュニケーションに関わっています。 たとえば、私たちが人の顔を見て知っている人なのか、知らない人なのかを見分けるのと同じように細胞どうしは糖鎖によって認識し合っています。 そんな役割を持っているのが糖鎖なのです。 生命現象の鍵をにぎる3つの鎖があるといわれています。 それは、 DNA タンパク質 そして、糖鎖です。 DNAは4種類の延期が直鎖状でつながったもので、ヒトゲノムの解読によってすべてが明らかになりました。 タンパク質は20種のアミノ酸が直鎖状につながっており、タンパク質の研究においてはノーベル賞の受賞者である田中耕一さんが画期的な研究をしたことで、有名です。 DNAやタンパク質にくらべてはるかに複雑な糖鎖配列は膨大な情報伝達を可能にするわけです。 ただそれゆえに、糖鎖の構造と機能の解析は一朝一夕には進まないのです。 生命現象、病気になるメカニズムの鍵をにぎる最後のくさり「糖鎖」! 今、世界中の医療業界で熱い注目を浴びています。 科学雑誌ニュートンにこんな記事が載りました。 --- 2003年、「ヒトゲノムの解読が完了した」と発表された。しかし、今でも生命現象のすべてはわかっていない。また、ゲノムの解読によって、病気にかかわるさまざまな情報がえられ、創薬のあり方がわかるといわれたが、それには時間がかかることもわかってきた。では、ゲノム解読完了という目標を終えた今、次ぎに何を解明するのか。「ポストゲノム」といわれる、その重要な候補の一つが「糖鎖」である。 --- ヒトゲノムの解読は生命現象のなぞを解き明かすだろうといわれた画期的な研究でしたが、ちょっと期待はずれ、その次の研究対象として「糖鎖」が選ばれたのでした。 最近、大変気になっているキーワードがあります。 そう、「糖鎖(とうさ)」です。 なにやら甘そうな雰囲気の漂ってくる言葉ですが、その正体は生命のなぞを解き明かす大変重要な役割を担っている物質です。 「糖鎖」とは、文字通り「糖」がくさり状に連なった物質で、私たちの細胞の表面に無数にある産毛のようなもので、センサーの役割をすると同時に、細胞どうしのコミュニケーションに大きな役割を果たしています。 病気になるメカニズムにも深く関わっています。 この「糖鎖てんこ盛りブログ」では、糖鎖に関する話題をちょこちょこと書いていきたいなと思っています。 |
||